SNSを使ったライブ配信が当たり前に。ソーシャルコマースのこれから

SNSの利用者やライブ配信の視聴者が増加する中、注目されているのが「ソーシャルコマース」です。本記事では、SNS及びソーシャルコマースが台頭している背景から、今後注目されているソーシャルコマースの具体策である「ライブコマース」のポイントについて解説します。

視聴者数が急増するライブ配信

スマートフォンが年代を問わず広く普及していることで、SNSや動画配信サービスの利用率も増加している傾向にあります。

消費者庁「ライブ配信サービス(投げ銭等)の動向整理※1」によると、動画投稿・共有サイトの利用率は2012年には25%でしたが、2017年には50.7%にまで増加していることがわかりました。ライブ配信型の動画共有サービスの利用も若年層を中心に増加しており、2017年時点では20代の25%がライブ配信型動画共有サービスを利用していると回答しています。

また、コロナ禍では、SNSにおける動画配信サービスの利用も急増しています。Facebook社によると2020年3月11日~17日と比較し、翌週の3月18日~24日でInstagramライブの視聴者数が50%増加したと発表されています。コロナ禍の外出自粛によって”お家時間”が増えたことで、SNSにおけるライブ配信機能の需要も高まっていることが伺えます。

※1 出典:消費者庁「ライブ配信サービス(投げ銭等)の動向整理(2018年12月)」

SNSの普及と共に伸びるソーシャルコマース

SNSや動画配信サービスの利用が拡大していることで、ソーシャルメディアとEコマース(EC)を連携させた販売手法「ソーシャルコマース」に取り組む企業が増加しています。

ソーシャルコマースとは

ソーシャルコマースとは、TwitterやFacebookなどのSNSや、YouTubeや17LIVEなどの動画サイトといったソーシャルメディアをECと組み合わせる販売手法です。これまでもSNSや動画サイトは情報発信や双方向のコミュニケーションによって企業のブランドイメージや商品の認知度向上を目的に用いられてきました。

ソーシャルコマースでは、これらのSNSの投稿などから、商品ページに移動してもらうという流れを作ることで、より直接的な購買につなげることができます。

ソーシャルコマースの市場規模と伸びている背景

ソーシャルコマースはSNS拡大の勢いに乗る形で市場規模を拡大させています。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査※2」によると、2019年のBtoC–EC(消費者向け電子商取引)市場規模は19兆3609億円でした。前年の17兆9845億円と比較すると7.65%増加していることがわかります。

市場規模が拡大している背景には、インターネットやスマートフォンが高い割合で普及していることで、SNSの利用者数も増加していることにあると考えられます。

※2 出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査(2020年7月)」

ソーシャルコマースの具体策として注目を集めるライブコマース

昨今盛り上がりを見せているのがSNSのライブ配信機能や動画配信サービスを活用して、リアルタイムで商品販売を行うライブコマースです。

SNSと相性がいいライブコマース

ライブコマースは、普及・発展してきているSNSとの相性が良い施策です。ブランド・企業の運営しているSNSでライブ配信の告知を行うことで、ブランド・企業に関心のあるユーザーを中心に情報提供することが可能となり、効率的な告知が可能となります。また、告知を受けたユーザーも、「いいね!」や「シェア」機能を使うことで簡単に情報を広めることもできます。

ユーザーが情報を広めてくれることで、企業の公式アカウントだけでは情報を届けられないユーザーにも広くライブ配信の告知を行うことが可能となります。

ライブコマースは従来ECの課題を解決

ライブコマースを用いることで、ECが従来から抱えていた「集客数の伸び悩み」、「コンバージョン率の伸び悩み」、「リピート率やLTVの伸び悩み」を解決することができます。

集客に対しては、ライブコマースというリアルタイムで、双方向にコミュニケーションの取れるコンテンツを用意すること自体が話題となり、多くの人を呼び込むことにつながります。

コンバージョン率については、ECサイトの場合、一方向的に情報を提供するのみでしたが、ライブコマースの場合、双方向のコミュニケーションを通じて、商品の気になる点を質問することができます。対面で接客を受けているように商品の説明をされたり、疑問が解消されたりすることで、購入されやすくなります。

リピート率(LTV)については、ECサイトの場合、ユーザーは接客されているという意識はなく、商品価格や機能だけで、購買を決めていました。ライブコマースの場合、双方向のコミュニケーションを通じて「接客」されることで、配信者(企業の販売員など)とのつながりも生まれ、その接客が良ければ、繰り返し利用したくなるユーザーも増え、リピート率やLTVの改善につながります。

ソーシャルコマースのこれから

コロナ禍では、外出自粛が呼び掛けられていることもあり、自宅で過ごす時間が長くなり、娯楽や情報収集としてソーシャルメディアや動画配信サービスを利用する人も増加しています。

さらに、情報収集のあり方にも変化がみられます。

SNSが普及する前であれば、検索エンジンを用いて、自身の気になる情報を能動的に探すことが一般的でした。しかし、SNSが普及したことで、SNSのタイムラインやフィードに流れてくる情報から気になる内容をピックアップする受動的な情報収集を行う人も増えてきます。

積極的にソーシャルメディアを活用したソーシャルコマースを行うことで、受動的に情報を収集しているユーザーに対して商品・ブランドを訴求することができるようになります。さらに、FacebookやInstagramでもショッピング機能が追加されるなどしていることから、SNSとECを連動させたソーシャルコマースは今後も拡大していくと考えられます。

加えて、店員と対話し商品を選択、購買できるといった購買体験の提供を一貫して実施できるライブコマースは従来のECの課題を解決するためにも有効な手法なため、ソーシャルコマースの普及を後押しする施策の一つになると考えられます。

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