D2C の成功企業が始めるライブコマースとは?事例と成功ポイントを解説

最近盛り上がりを見せている D2C は従来の通販や B2C のビジネスモデルと何が違うのでしょうか。本記事は「 D2C とは何か」について整理しながら、 D2C の成功ポイントを事例とともに解説します。

D2C とは

最近良く耳にする D2C ( Direct to Consumer ) は、 B2B や B2C などと同様にビジネスモデルの1つです。 B2B が企業間での取引、 B2C が企業と一般消費者との取引などと需要と供給の関係性に着目した分類であるのに対し、 D2C は、自ら企画、生産した商品を広告代理店や小売店を挟まず、消費者とダイレクトに取引する販売方法を意味します。インターネットやスマートフォン、 SNS などの普及によりECビジネスが活発となった現代において拡大を見せているビジネスモデルです。

経済産業省の「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)※1」によると、米国では2019年のECによるD2C売り上げは前年比33.1%増の142.8億(約1兆5722億円)USドルまで伸びていることがわかりました。日本だけでなく米国でもD2Cによる販売手法が注目されていることから、2022年には売上高は245億USドル(2兆6974億円)まで拡大することが予想されています。


※1 出典:経済産業省の「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf)

D2Cビジネスモデルが加速する2つの背景

D2Cに注目が集まる理由は一体何でしょうか。そこには2つの背景が存在します。

SNSが普及

D2C のビジネスモデルが加速する背景には「 SNS の普及」が挙げられます。全世帯の推移をみても平成 29 年時には 52.2% でしたが、令和元年には 58.6% まで利用率が増加しています。 20 代、 30 代といった若い世代だけではなく、60 代以上の方の利用率も高まっています。

企業は、 SNS を利用することで、若い世代だけではなく、幅広い年代の方に情報を届けられるような環境になってきています。


出典:総務省「令和元年通信利用動向調査」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201900_001.pdf)

ニーズや価値観の多様化

消費者のニーズや価値観の変化・多様化にマッチしているという点も D2C ビジネスが注目される背景の 1 つです。

80 年代前後は「モノ」を消費する時代で、機能や価格、ブランドといった価値観が多くの消費者の中で共有されていました。しかし、 2000 年代前後になると、機能や価格における差は小さくなり、消費者は購入後の体験(コト)に着目するようになりました。そして、 2010 年以降は、ブランドの提供する哲学や世界観を共有できるか、どのような「イミ」があるかによって購買を決める消費者も増えてきています。

イミを購入基準とする消費者が増えた背景には、SNSの普及によってマスメディアの影響力が落ちたことに加え、企業がSNSアカウントを通じて消費者に直接メッセージを訴求できるようになったことが挙げられます。

従来では伝えきれなかった商品やブランドの深い意味の部分までの情報を届けられるようになったことで、消費者もその情報に関心を持つようになり、購買基準の1つとなるまでに至りました。

このような2つの流れが組み合わさったことで、企業はブランドの哲学や世界観共有を共有できるようになり、それらに共感し購入する消費者も増えてきています。そして、独自の世界観・意味を持つD2C ブランドおよびビジネスに注目が集まってきています。

D2Cのメリット・効果

D2C ビジネスに着目する企業は少なくありません。D2C ビジネスを実践することで得られる代表的なメリットや効果について紹介します。

コアなファンを獲得しやすい

顧客との間に誰も介在しないため、ブランド・メーカーは直接顧客とコミュニケーションをとることができます。

コミュニケーションを通じて理解を深め合うことで、コアなファンを獲得しやすくなります。コアなファンを獲得できるようになることで、LTVの向上が望めるだけでなく、伝道者としてブランドを広める役割を担ってくれる可能性もあります。

顧客データを利活用した商品開発やマーケティングが可能

顧客と直接コミュニケーションや商品の売買を行うため、顧客の属性や購入履歴、コミュニケーション頻度などさまざまな情報を得ることができます。得られた情報をベースに新たな商品開発にフィードバックしたり、より多くの方に購入いただけるようなマーケティング施策の立案に役立てたりすることも可能です。

D2C ブランドの多くが始めるライブコマース

D2C ブランドの多くが着手し始めている施策としてライブコマースが挙げられます。本章では、ライブコマースの主な概要とともに、成功事例について紹介します。

D2C 施策として注目されるライブコマース

D2C ビジネスのメリットを最大化させる方法として注目されている施策が、ライブ配信で商品を紹介し、購入してもらう新しい販売・マーケティング手法である「ライブコマース」です。

販売者は、自社のメッセージがどのように伝わっているかを直に感じることができ、顧客としては、ブランドや商品に対する質問をその場で投げかけることで、疑問を解消することができます。

さらに、ライブ配信と商品の購入を連動したサービスを利用することで、視聴履歴や購入履歴といった情報をワンストップで確認することができるようになり、コアなファンの意見を抽出するといったことも可能です。

D2C ブランドのライブコマース事例

<某コスメブランド>メイク方法の提案をライブ配信しファンを獲得

美容のハウツー動画を配信するメディアを通じ、マーケットインで商品を開発し、サブスクリプションでサービスを展開しています。
ライブ配信を通じて、ユーザーからの質問や、ニーズをキャッチアップし、消費者の声や意見を起点に商品開発を行うことで、消費者の顕在的なニーズを満たすことに成功しました。またライブコマースを活用したメイク方法の提案などでファンの獲得につなげ、これまでになかった新たな分野での商品においても成功を収めています。

<某オリジナル酒ブランド>「コト・イミ」を伝える情報発信でファンを獲得

日本酒販売のみで利益を上げるのではなく、日本酒のある暮らし・ライフスタイルの提案を物販・メディア事業など複合的な D2C ビジネスで展開しています。また メディアの記事コンテンツにリンクをはりYouTube によるプロモーションビデオやイベントなのどの動画配信などを行い、情報の発信を分散させ多角的なアプローチでファンの獲得を増やしています。

<某アパレルブランド>コーディネートの提案をライブ配信

着こなしのコツやコーディネートの提案、アイテムの履き比べなどをライブ配信。 商品開発時にはフォロワーからの意見を募集するなど、双方向型のコミュニケーションを活発に行い顧客の獲得に成功しています。

このようにさまざまな分野で D2C ビジネスを成功させている企業は少なくありません。
次章では D2C を成功させた販売戦略に共通するポイントをご紹介します。

成功事例からひも解くD2C成功のポイントとは

最後にD2C ビジネスを成功させるための主な2つのポイントを紹介します。

単なるショッピングに留まらず、ビジョンや思想を顧客に伝えること

ライブコマースは今や商品の プロモーションの場でもあり、ユーザーとのコミュニケーションの場でもあり、購入の窓口でもあります。D2C ビジネスでライブコマースを活用する場合には、単なるショッピングの窓口としてだけとらえるのではなく、ブランドのビジョンや思想を顧客に伝える場であるということも意識した上で、実施していくことが重要です。

ファンとのコミュニケーションを密にとること

D2C ビジネスの成功ポイントはメディア、 SNS 、動画を活用し、ファンとのコミュニケーションを密にとることにあります。購買への導線設計に加えて、ユーザーとのつながりを確保し、よりリアルな購買体験を提供するために多くのブランドが活用している販売形態がライブコマースです。

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